亡き者に亡き者に

気がついたら左手薬指が第二関節で切断されていた。切断面と切断面とをぴったり合わせて右手のひらで包むようにしてあたためるとぎりぎりでくっつく(身体の一部がちょん切れてもくっつけてあたためればまたくっつくのが常識)ので医者いらず。でも指を曲げようとすればにゅるりとずれるし、ちょっと放置しても気づけばずれてるので目が離せない。ずれた指を元の位置に戻すのは痛くないけど指に麻酔がかかったような重苦しくて鈍い不快さを感じるので心底厭だった。指がずれると白い骨がぽっつり見えるのも厭だった。何度もずれた指を戻してあたためるのを繰り返すうちにそれまで指にぐるりと刻まれてた傷の一部(指の腹の部分)が数ミリだけど完全に完治して皮膚と皮膚が繋がっていた。それを嬉しく思うと同時に「今指を曲げればくっついた皮膚や肉が裂けて物凄い痛みに襲われるだろう」と想像してやっちゃいけないけどやりたいようなそんな欲求に駆られたところで目が覚めた。