三号館

わたしはターコイズブルーの階段を登りクリームイエローの階段を下って帰るんですよ。開けられるのは東側のドアだけなんです。西側が開くとみんなちょっと笑うんです。私の好きだった人は冬に業務用の大きなチョコレートをいっぱい食べて春にふっくらと太って夏にすっきり痩せるんです。
全部三号館でのことでした。
七階建ての三号館は幸せでした。
それだけなんです。
私が死ぬときに持っていきたい記憶はそれだけなんです。
あとはなにもいらないんです。
ああ、なんだかラブレターみたいですね。
今から会いに行きますよ。
この記憶さえあればきっと会えますよね。


三号館の屋上からさようならとこんにちはをします。